今月みたもの(2019年7月・8月)

金子修介樋口真嗣ガメラ 大怪獣空中決戦』1995年

ガメラ 大怪獣空中決戦

  ガメラが無料で観れる!というのでうっかりプライム会員になりました。人の目線の高さから怪獣を描き切っていてすごい。

 

金子修介樋口真嗣ガメラ2 レギオン襲来』1996年

ガメラ2 レギオン襲来

  すごく真っ当なSF映画。これを札幌市民として観ることができる喜びよ。

 

金子修介樋口真嗣ガメラ3 邪神覚醒』1999年

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒

 ボーイミーツガールなファンタジー映画。特撮は全部見どころ。美しい。

 

金子修介神谷誠ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』2001年

ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃

 金子修介監督つながりで観た。樋口真嗣監督の画作りってすごかったんだな…。

 

ジョーダン・ピールゲット・アウト』(Get Out)2017年

ゲット・アウト(字幕版)

 みんな総じて顔ヂカラが強くて不安を煽る。「私たち差別しません」という人々もまあ気味悪いものだなと思わせる前半からの、ボディスナッチャー展開の後半まで、楽しい映画でした。

 

トビー・フーパー悪魔のいけにえ』(The Texas Chain Saw Massacre)1974年

悪魔のいけにえ 公開40周年記念版(字幕版)

 夏なのでホラーを観てみようと…。痛そうなシーンは苦手なのだが、意外と直接的な表現は少なくてよかった。蒸した匂いが漂ってきそうな画面や、挟まれる凝ったアングルから目が離せない。ガラガラピシャーンと閉まる扉のシーンがなぜかもっとも印象に残る。レザーフェイスは不器用かわいい。

 

ベン・シャープスティーン、ハミルトン・ラスク『ピノキオ』(Pinocchio)1940年

ピノキオ(吹替版)

 ディズニーランドのピノキオのアトラクションが苦手である。金をせしめる悪人が大々的に描かれているところなど、何が楽しいのだろうか…。という気持ちを抱きつつ観た。ピノキオは確かに素行不良なところがあるのだが、全て大人がそそのかしている…。そしてその大人が裁かれることはない…。殺伐としたおとぎ話だった。

 

ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ『アラジン』(Aladdin)1992年

アラジン (吹替版)

 子供の頃、友達の家にはたいがいアラジンのビデオがあったな…。ついに初見。面白かった。ジニーがいればだいたいオッケーである。

 

ベン・シャープスティーン『ダンボ』(Dumbo)1941年

ダンボ (吹替版)

 母(マッド・エレファント)の愛に泣く。しかし、終盤も終盤に飲酒による幻覚を数分間繰り広げる胆力には恐れ入った。

 

バルタザル・コルマキュル『2ガンズ』(2 Guns)2013年

2ガンズ (字幕版)

 綺麗なディズニー映画を立て続けに見すぎたので、麻薬映画を観た。マキシマムザホルモンの曲のようにめまぐるしく展開する脚本がすごい。面白いよ。

 

 

自己正当化してない?『自分の小さな「箱」から脱出する方法』

自分の小さな「箱」から脱出する方法

アービンジャー・インスティチュード『自分の小さな「箱」から脱出する方法 人間関係のパターンを変えれば、うまくいく!』

出版社:太田出版

原著:LEADERSHIP and SELF-DECEPTION Getting out of the Box (2000年)

 

 「箱」とはなにか。自分の殻に閉じこもるとか、そんなことを思い浮かべていたけれど、その定義はちょっと違う。

 これをやったほうが本当はいいかな、と心によぎったことを、なんのかんのと理由をつけてやらない。こうして言い訳を作るような心の動きを「箱に入る」というのだ。

 本書内の例がとてもわかりやすい。夫たるあなたが寝ていると、子供が夜泣きする。妻は気付かず寝ているようだ。自分があやしに行けば妻は起きずに済む、という思いも浮かんだが、結局寝たふりをしてしまう。こうした時の心の動きとして、①自分は疲れているし普段は良い夫じゃないかという正当化、②これで起きないなんて妻は怠け者だという歪んだ視点の獲得、③そうした認識を自分の通念として持ち続けてのちの関係にも適用してしまう、ということが起こるという。こうした自己正当化、自己欺瞞のきっかけは、そもそも「子供をあやしにいった方がいい」という感情に背いたことにあるのである。

 なかなか身につまされる話だ。仕事で報告するタイミングを後ろ伸ばしにしてしまう、不要に相手に冷たく当たってしまう、電車で席を譲らずやり過ごすといった全てがなんだか当てはまりそうだ。うまくいかないのは相手が悪いとか、外的要因に求めようとすることが多いが、実際は自分自身が箱に入っていることが原因なのである。

 なぜ箱に入ってしまうのか、箱に入ると何が起こるのか、箱から脱出するにはどうすれば良いか、物語形式で進むのでスッキリと飲み込める。自身の心のコントロールの一助として有用な一冊だと思う。

今月みたもの(2019年6月)

ピーター・ハイアムズカプリコン・1』(Capricorn 1)1977年

カプリコン・1 [Blu-ray]

 火星に行くかと思いきや砂漠で蛇を食う。人類はほんとうに月に行ったのか、という陰謀論を下敷きにしている映画で、SF→政治サスペンス→アクションとジャンルを跨ぎながら物語は進む。なんて言うとしっちゃかめっちゃかな感じだが、ちゃんとハラハラするし、キャラの強い飛行機野郎も出てくるしでめっぽう面白かった。暴走する車の主観映像の部分は、手に汗を握らざるを得ない。

 

マット・リーヴスクローバーフィールド/HAKAISHA』(Cloverfield)2008年

クローバーフィールド/HAKAISHA (字幕版)

 元カノとヨリを戻す決意をしたと思いきやNYが破壊される。巨大な怪獣に襲われる恐怖を主観で描き続ける90分。何が何だかよくわからんままに突き進み終わるジェットコースター(ex. スペースマウンテン)的な面白さでした。

 

ショーン・ペンイントゥ・ザ・ワイルド』(Into the Wild)2007年

Into the Wild / [Blu-ray] [Import]

 社会を嫌って荒野へ向かうが、社会に助けられ荒野に嫌われる。様々な人々との出会いを果たす美しい旅は、すべてを無下にして惨めに幕を閉じる。主人公は愚かな夢想家だったが、それを一笑に伏すほど私は賢いだろうか。 

 

デヴィッド・クローネンバーグヒストリー・オブ・バイオレンス』(A History of Violence)2005年

ヒストリー・オブ・バイオレンス(字幕版)

 暴力と縁を切ったつもりがそうは問屋が卸してくれない。暴力描写自体は異様に淡々とスピーディで、グロテスクで、なんの感情も乗せられない。暴力の周囲を忌避や賞賛の感情が複雑に取り巻く様子が描かれる。すごい映画でした。

幸福のデザイン『愛の本』

愛の本 (ちくま文庫)

菅野仁『愛の本 他者との〈つながり〉を持て余すあなたへ』

ちくま文庫(2018年)

 

 幸福とは何か。その具体性は異なるものの、個人ごとのある一定の条件を満たすことだと著者は言う。その条件とは、「自己充実をもたらす活動」および「他者との交流」である。前者は、自分の好きなことを見定めて取り組むことで達成されるような、自分自身で完結を図ることのできるものだ。

 一方後者はどうだろう。自分の気持ちが受け入れられないことはしょっちゅうだし、意図しない印象を持たれることだって多い。と言うよりそもそも自分をどう受け取られているかわからないことがほとんどなわけで、自分でコントロールしきれない領域であるのが厄介だ。

 ところが、こう見られたいと言う欲求、あるいは俺はこいつのことを完全にわかっているという誤解を強く持ってしまい、自分以外の人間が他者であることをしばしば忘れてしまう。そうやって「よそよそしさのバランス」を取り間違えるがために、自分の思いと現実のギャップが広がり疲弊してしまう。

「このように私を見てほしい」といったこちら側の願いなんてあっさりふきとばしてしまうような存在、それが他者。

 じゃあ他者なんて知ったこっちゃない、とはならないことも本書は教えてくれる。「つながりの網目」が社会となり、社会は自己実現に大きく手助けしてくれることもあるからだ。他者とのつながりから逃れることは難しい。

 他者との関係は傷つくことばかりだけど、それでも「耐性」をつけて向き合っていくしかないと著者は言う。他者との関係の中に徐々に自分をさらけ出していく。そもそも他者とは完全に分かり合えることがないのだから、ちょっとでもコミュニケーションがうまくいったらどんどん自分に加点しよう。減点する必要はない。そうした心の持ち方を教えてくれる。その時に、自己充実をもたらす「ほんとうに好きになれること」が自分自身を支えてくれるということも。

 平易に、優しさに溢れる文体で書かれた本である。だからこそ、少しつまづいた時に何度も開きたいと思わせるような本である。