2019-01-01から1年間の記事一覧

今月みたもの(2019年7月・8月)

金子修介・樋口真嗣『ガメラ 大怪獣空中決戦』1995年 ガメラが無料で観れる!というのでうっかりプライム会員になりました。人の目線の高さから怪獣を描き切っていてすごい。 金子修介・樋口真嗣『ガメラ2 レギオン襲来』1996年 すごく真っ当なSF映画。これ…

自己正当化してない?『自分の小さな「箱」から脱出する方法』

アービンジャー・インスティチュード『自分の小さな「箱」から脱出する方法 人間関係のパターンを変えれば、うまくいく!』 出版社:太田出版 原著:LEADERSHIP and SELF-DECEPTION Getting out of the Box (2000年) 「箱」とはなにか。自分の殻に閉じこもる…

今月みたもの(2019年6月)

ピーター・ハイアムズ『カプリコン・1』(Capricorn 1)1977年 火星に行くかと思いきや砂漠で蛇を食う。人類はほんとうに月に行ったのか、という陰謀論を下敷きにしている映画で、SF→政治サスペンス→アクションとジャンルを跨ぎながら物語は進む。なんて言…

幸福のデザイン『愛の本』

菅野仁『愛の本 他者との〈つながり〉を持て余すあなたへ』 ちくま文庫(2018年) 幸福とは何か。その具体性は異なるものの、個人ごとのある一定の条件を満たすことだと著者は言う。その条件とは、「自己充実をもたらす活動」および「他者との交流」である。…

人工生物への期待と恐れ『合成生物学の衝撃』

須田桃子『合成生物学の衝撃』 文藝春秋(2018年) 生命を「工学」する 本書は2つのパートに分けることができるだろう。そのひとつが生物学を工学化する営みのドラマである。 生物はDNA配列というプログラムでコードされたシステムで動いているということが…

今月みたもの(2019年5月)

まだまだMCUマラソンは続くのだ…! テイラー・シェリダン『ウィンド・リバー』(Wind River)2017年 と言いつつ早速脱線したが、ホークアイとワンダが出ているからいいじゃない。だってもうツタヤのMCUコーナーが空っぽだったもので…。 真っ白な雪原を荒野に…

自由のために『ふだんづかいの倫理学』

平尾昌宏『ふだんづかいの倫理学』 晶文社(2019年) 本書の冒頭は、いくつかの例題から始まる。ちょっと紹介してみよう。 1)あなたは都道府県知事。賄賂を渡すから発注してほしいと工事業者。どうする? 2)結婚をしようとした相手が重い病気に。どうす…

今月きいたもの(2019年4月)

Stella Donnelly『Beware Of The Dogs』(2019年) オーストラリアのSSW。パンクも逃げ出すような強い言葉が歌われているようだが、曲調は超絶ポップでどこか牧歌的。したがって晴れた昼間に聴くのが良い。でも歌詞は衝撃的なもの。それでも曲調は爽やか…と…

今月みたもの(2019年4月)

スティーヴン・スピルバーグ『ブリッジ・オブ・スパイ』(Bridge of Spies)2015年 冷戦下、米ソが互いに捉えた諜報員同士の交換に奔走する弁護士ドノヴァンの物語。たとえ敵国のスパイであろうと、法の下では平等な人間として扱わなければならないと主張し…

それでも見せびらかしたい『消費資本主義!』

ジェフリー・ミラー『消費資本主義!』 出版社:勁草書房 翻訳者:片岡宏仁 原著:Spent. Sex, Evolution and Consumer Behavior (2009) 私たちは地球でもっとも発展した知的生命体のはずだ。にもかかわらず、なぜハマーなんていう非効率なものを所有したが…

ゲノム編集がやってくる『ゲノム編集の衝撃』

NHK「ゲノム編集」取材班『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』 NHK出版(2016年) こんな報道もあったりして、いよいよゲノム編集技術と生活との接点が増えていきそうだ。そもそもゲノム編集とはなんなのか。研究が活況を示し始めた様子を追…

今月みたもの(2019年3月)

ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン『スパイダーマン:スパイダーバース』(Spider-Man: Into the Spider-Verse)2018年 運命を前に逃げ出すのではなく、何度も立ち上がり立ち向かわなければならない。それは決してひとりきりの…

渇望と虚しさ『ブッチャーズ・クロッシング』

ジョン・ウィリアムズ『ブッチャーズ・クロッシング』 出版社:作品社 訳者:布施由紀子 原著:BUTCHER'S CROSSING (1960年) 1873年のアメリカ・カンザス州〜コロラド準州を舞台にした小説。架空の街・ブッチャーズ・クロッシングにやってきた若者・アンドリ…

人と機械のつきあい方『デジタルアポロ』

デビット・ミンデル『デジタルアポロ 月を目指せ 人と機械の挑戦』 出版社:東京電機大学出版局 翻訳者:石澤ありあ 原著:DIGITAL APOLLO: Human and Machine in Spaceflight (2008) 自動車のクルーズコントロールって使います?アクセルを踏まなくても設定…

今月きいたもの(2019年2月)

James Blake『Assume Form』(2019年) ロンドンのシンガー・ソングライターの4枚目。奇妙さや冷たさは作品を重ねるごとに薄れている印象で、今作では肉感的な温かさもある。もろヒップホップな音も増えている。美しい荘厳さを秘めているのは変わらず、それ…

今月みたもの(2019年2月)

デイミアン・チャゼル『ファースト・マン』(First Man)2018年 僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもうアポロ11号が月に行ったという話。IMAXで鑑賞。4DXにすればよかった。 冒頭から観客は狭い飛行機に押し込められ、飛行テストの真っ只中に放り出され…

麻薬カルテルの経営学『ハッパノミクス』

トム・ウェインライト『ハッパノミクス 麻薬カルテルの経済学』 出版社:みずす書房 翻訳者:千葉敏生 原著:NARCONOMICS How to Run a Drug Cartel (2016) 映画『ボーダーライン』は、アメリカとメキシコの国境の街を舞台に、麻薬カルテルの捜査を描いた作…

間をつなぐひと『おクジラさま』

佐々木芽生『おクジラさま ふたつの正義の物語』 集英社(2017年) 本書は2017年に公開されたドキュメンタリー映画を監督自身が書籍化したものである。イルカ漁をめぐり和歌山県太地町で巻き起こる対立を、「中立な」視点で捉えようとしたものである。 こと…

今月みたもの(2019年1月)

リドリー・スコット『ブレードランナー ファイナルカット』(Blade Runner)1982年 10年くらい前に初めてみたときは、最後の格闘シーンで寝てしまうということがあった。今回も集中力は全く続かなかったのは否めない。世界観も雰囲気も好みなはずなのにどう…