ボゴリア湖…『不思議の湖に100万羽のフラミンゴが舞う』

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NHK BSプレミアム ワイルドライフ

アフリカ大地溝帯 不思議の湖に100万羽のフラミンゴが舞う』(2017/1/23放送)

 

 ケニアの中央部に伸びる幅50km、深さ600mの大地溝帯。ここにあるのが南北34km、東西3.5kmの細長いボゴリア湖だ。湖のいくらかの場所に間欠泉があり、水温は30℃前後に保たれている。周辺の土壌のミネラル・塩分が川から湖に流れ込み、高い気温で湖水が蒸発することで塩分濃度は高くなっている。さらに水質はアルカリ性と、生物の生息環境としてはやや厳しい。

 湖は緑色をしているが、これはスピルリナという螺旋状の植物プランクトンによる。スピルリナは、むしろこの湖のように塩分が高くアルカリ性の水質でしか生きられないという。

 そして、湖にピンク色の模様を作るのがフラミンゴの群れである。数は100万羽ともいう。ここには2種類のフラミンゴがおり、数で優勢なピンク色のコフラミンゴ、それより一回り大きく白いオオフラミンゴだ。ここは彼らの一大生息地なのである。

 コフラミンゴの主食はスピルリナだ。彼らはこれを鼻先を湖面に滑らすように食べるのだが、これがコミカルである。嘴には大小の突起がみっしり生えており、これを使って湖水ごと吸い込んだスピルリナを濾し取っているのだ。

 餌のスピルニラにはカロテンも多く含まれており、コフラミンゴの強いピンク色の羽・脚の色に反映される。サケか。しかしこれが、外見から健康状態を読み取る鍵となるのである。

 湖の強い塩分は、フラミンゴの羽根同士をくっつけて固めてしまうこともある。このためフラミンゴは羽繕いに余念がなく、1日の15〜30%の時間をあてるともいう。またこの羽繕いは、水に浸からなくていい浅瀬でないとできない。水深の浅いボゴリア湖は、フラミンゴが大集団で休むに適しているのである。

 しかし、雨量の増加や森林伐採の影響から、ボゴリア湖の水深は深くなってきているという。かつて近くのナクル湖では、増水で遠浅がなくなってしまい、フラミンゴの寄り付かない場所になってしまった。また増水は淡水濃度の上昇を招き、湖水のpHを下げ、スピルリナに適さない環境も作りうる。

 一方で、増水はフラミンゴに意外なメリットももたらした。これまでは水浴びのために数km離れた川まで行かなくてはならなかったが、そこはすぐ近くまで森がせり出し、アヌビスヒヒなどの捕食者に狙われるリスクも高い。しかし増水で湖水の塩分が下がることで、その場で水浴びをできるようになったという。また、オオフラミンゴの餌は水中昆虫や甲殻類で、湖水の増水はこれらの餌の増加をもたらした。

 彼らは意外なことに夜も活発に採餌をする。理由は解説されないが不思議である。

 この湖には、フラミンゴ以外も多くの鳥が現れる。その一つがサンショクウミワシ。魚が主食ではあるが、ここではフラミンゴを狙う鳥である。若鳥や怪我を負ったフラミンゴを襲う姿が見られる。

 この湖、どう見ても超一級の探鳥地。一度は行きたいものである。