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ロンドンを走る恐竜『イギリス恐竜図鑑』

TV

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NHK Eテレ 地球ドラマチック

『イギリス恐竜図鑑 第1回 ”恐竜”の誕生』(2016/4/2放送)

『イギリス恐竜図鑑 第2回 ティラノサウルスの祖先』(2016/4/9放送)

原題:DINOSAUR BRITAIN (イギリス 2015年)

製作:Maverick Television

 

 恐竜発祥の地はイギリスである、ともいえる。約200年前にオックスフォード近くの坑道から見つかった化石を、ウィリアム・バックランドが初めて絶滅した爬虫類のものだと考えた。それまで同様の化石は世界中で見つかっており竜や巨人のものとされていたが、そうではないことが判明したのだ。追って1854年にロンドン自然史博物館の創始者リチャード・オーウェンズが、これら絶滅した生き物たちを「恐竜(Dinosaur)」と名付けたのである。

 そんなイギリスにはかつてどんな恐竜が生息したのかを紹介するのがこの番組だ。イギリス各地の博物館・発掘地を巡りながら、これまでに国内で発見された20種以上の恐竜から代表的な種を紹介している。

 面白いのは、復元した恐竜の姿を現代のイギリス国内に登場させ、案内役であるエリー・ハリソンを逃げ回させるなど、ドラマ仕掛けの部分があることだ。世界で初めて恐竜と認められたメガロサウルスは32km/hの走力でクロスバイクと競争し、ヌテテス・デストルクトルは観光客の昼食を奪う。中生代の風景の中に登場させるよりも、その種のスケール感や習性が強く印象に残るのではないか。

 かつてのイギリスは赤道近くにあり、南部は熱帯性の湿地になっており化石が残るには好条件だったそうだ。例えばイギリスでは、世界初の魚食性恐竜・バリオニクスが見つかっている。1億25百万年前に生息した全長10m・体重2tのこの恐竜の骨格内部からは、一部胃酸で溶けた魚や鱗が見つかっている。吻が長く、水に頭を突っ込んで餌を獲ったと考えられる。現代のイギリスに現れた際には、テムズ川で狩りを始めていた。

 このような大型の獣脚類を始め、巨大な竜脚類ケティオサウルス、世界で2番目に発見された恐竜イグアノドン、ティラノサウルスの祖先である小型のプロケラトサウルス、世界初の剣竜類ダケントルルスなど、多種多様な恐竜がかつて存在していたことがわかっている。ワイト島で見つかった肉食恐竜ネオヴェナトルと植食恐竜マンテリサウルスの化石は、両者の戦いや怪我の治癒の跡など、かつてのイギリスで繰り広げられた状況を思い起こさせる魅力的なものだ。

 このような化石の多くはアマチュアの人たちにより見つけられてきた。ジュラシックコーストやスカイ島など、断崖絶壁の海岸が広がる場所が化石の名産地だ。嵐の後の引き潮どきに行けば、アンモナイトやベルムナイトの化石がゴロゴロ見つかるそうだ。羨ましい。

 見る人の足を発掘場や博物館に向かわせるだろう良い番組だった。